〖酒屋とAIの対話ログで学ぶ、お酒のあれこれ〗第3回「ひやおろし・秋上がり」

〖酒屋とAIの対話ログで学ぶ、お酒のあれこれ〗第3回「ひやおろし・秋上がり」

🍶 酒屋とAIの対話ログで学ぶ、お酒のあれこれ

この企画は、お酒の用語や造り、歴史など、少し分かりにくい話を噛み砕いて整理するために、地酒専門店 酒逢の店主とAIが対話形式で掘り下げていく企画です。

店主の知識や経験をベースに、AIで資料やデータを整理しながら、「なぜ?」「本当に?」まで確認していきます。

今回は資料を確認しながら台本を組んでいく中で、 「これ、もしかしてこういうことだったんじゃない?」 という仮説もいくつか出てきました。

なるべく史料や研究など根拠の確認できるものをもとに話を進めていますが、歴史的な経緯については、資料から確認できる事実と、そこから私たちが組み立てた推測が混ざる部分もあります。

すべてを「確定した事実」としてではなく、酒屋とAIが資料を見ながらあれこれ考えている“壁打ち”としてお楽しみください😁

📑 この記事の目次

  1. 秋上がりとひやおろし、何が違う?
  2. 「熟成して丸くなる」って、酒の中では何が起きている?
  3. ひやおろしは「秋の味覚」のために生まれたのか?
  4. 昔の生酒は、どう飲まれていた?
  5. 日本酒は、なぜ二回も火入れする?
  6. 火入れ技術は、どう進化してきた?
  7. 昔の冷卸が「最上」とされた理由は?
  8. 昔と今では「美味い日本酒」の基準が違う?
  9. 熟成酒文化を変えた、明治の酒税
  10. 「秋はひやおろし!」は昔からの文化?
  11. 現代のひやおろしは、昔の冷卸と同じなのか?
  12. 結局、ひやおろしって何なんだ?

秋上がりとひやおろし、何が違う?

〖酒逢店主🍶〗

今日はちょうど秋の酒が増えてきたことだし、わかってるようで「正確な定義を言って」って言われると口ごもる代表格でもある「ひやおろし・秋上がり」について話そう。

まず俺の理解だと、

冬から春に造った酒

火入れして貯蔵

夏を越して熟成

その熟成がうまくいったものを「秋上がり」

その中でも、秋に二回目の火入れをせずに出すものが「冷卸」

みたいな関係だと思ってるんだけど、だいたい合ってる?

〖AI 🤖〗

入口としてはかなり分かりやすい整理です。

日本酒造組合中央会の用語集では「秋上がり」は、

冬季に製造した清酒が、貯蔵して秋になると酒質が向上すること

とされていて、逆に酒質が落ちてしまうことを「秋落ち」と呼んでいます。 つまり秋上がりは、製法名というより夏越し熟成の結果を表す言葉です。

一方の「ひやおろし」は、昔、火入れして大桶で貯蔵していた酒を、秋になって酒温と外気温が同じくらいになる頃、大桶から樽へ詰めて二回目の火入れ無しに出荷したもの。

この時期には新酒の荒さが消えて、丸みが出て飲み頃になっていたと説明されています。

※1

だから説明図としては、

夏越しした酒

酒質が良くなった

秋上がり

その酒を再火入れせず秋に卸す

冷卸

でいいと思います。

ただし、法律上「冷卸は秋上がり酒の一部」と集合関係が定義されているわけではありません。

国税庁の清酒の表示基準では、「生酒」「生貯蔵酒」「原酒」などには明確な要件がありますが、「ひやおろし」という全国統一の表示要件は定められていません。

※2

なので、ここでは言葉の本来の意味を理解するための図として考えるのがよさそうです。

〖酒逢店主🍶〗

あと「ひやおろし」の“ひや”も、冷蔵庫でキンキンに冷やした酒って意味じゃないよね。

〖AI 🤖〗

そう。

ここでいう「冷や」は、燗をしていないという意味に近くて、出荷の際に改めて火を入れず、そのまま卸すから「冷卸」。

だから、

ひやおろし=冷やして飲む酒

ではありません。

むしろ昔の冷卸を燗で飲んでいたって、何もおかしくないです。

「熟成して丸くなる」って、酒の中では何が起きている?

〖酒逢店主🍶〗

じゃあ次。

「ひと夏越して酒が丸くなる」「味が乗る」って普通に言うけど、これは感覚的な表現だよね。実際、半年置いてる間に酒の中では何が起きてるの?

〖AI 🤖〗

ここは「何か一つの成分が増えるから丸くなる」という単純な話ではありません。

火入れをして酵素の働きを止めても、酒の中の化学反応まで全部停止するわけではないんです。

清酒の熟成研究では、貯蔵中に例えば、

  • コハク酸やリンゴ酸が減少する
  • それらからエチルエステルが生成する
  • ピログルタミン酸が増える

といった変化が確認されています。

また、アミノ酸と糖などが反応するアミノ・カルボニル反応も熟成中に進み、色や香味に影響します。

※3

〖酒逢店主🍶〗

じゃあ「酸が減るから角が取れて丸くなる」くらいなら言っちゃっていい?

〖AI 🤖〗

そこまでは単純化しない方がいい。

分析上の成分変化は確認できますが、

この成分が何ppm減ったから、人間が「丸い」と感じる

と一対一で対応しているわけではありません。

香り、酸、糖、アミノ酸、アルコールなど複数の要素が時間とともに変化して、新酒時に目立っていた各要素のバランスが変わっていく

その総合的な感覚を、昔から「荒さが取れた」「味が乗った」「丸くなった」と表現してきた、と考える方が正確です。

そして重要なのは、ひやおろしで狙っているのは何年も寝かせた古酒ではないこと。

新酒の若さ

適度な熟成

さらに進んだ熟成・老熟

という時間軸があって、その中のちょうどいい“適熟”を秋に捕まえるのが秋上がりなんだと思います。

ひやおろしは「秋の味覚」のために生まれたのか?

〖酒逢店主🍶〗

で、ここが俺ちょっと疑ってるんだけど。

ひやおろしの説明って、だいたい

「ひと夏越して旨味が乗って、秋刀魚や茸なんかの秋の味覚にぴったり!」

ってなるでしょ?

昔から「秋の食べ物にぴったりの日本酒」として飲まれてたの?

〖AI 🤖〗

そこは、少なくとも今確認できる資料からは順番を逆にしない方がよさそうです。

現在は、ひやおろしを「豊穣の秋」「秋の味覚を引き立てる食中酒」と明確に訴求する売り方が一般的です。

でも冷卸が成立する歴史的な流れ自体は、秋の食材を持ち出さなくても説明できます。

冬の寒い時期に酒を造る

春に火入れする

大桶で夏を越す

その間に熟成する

秋になって気温が下がる

酒の状態も落ち着く

再火入れなしでも出荷しやすくなる

まずこっちでしょう。

〖酒逢店主🍶〗

つまり、

「秋刀魚に合う酒を造ろうぜ!」

から生まれたんじゃなくて、

「秋になったら、この酒がちょうど飲み頃になってた」

が先っぽいと。

〖AI 🤖〗

そう考える方が、現時点では史料と矛盾しにくいです。

結果として、熟して旨味の乗った酒と、秋冬の味の濃い食材との相性が良かった。

そこは十分あり得ます。

でも、

秋の味覚との相性が良い
=だから冷卸という文化が生まれた

までは今のところ確認できない。

むしろ製造・保存・気候の都合で秋に飲み頃になった酒へ、後から食文化が綺麗に重なったと考えておく方がよさそうです。

昔の生酒は、どう飲まれていた?

〖酒逢店主🍶〗

そもそももっと前の話だけど。

火入れ技術が十分じゃなかった時代って、生酒はどうしてたの?

昔から造った酒を一年中好きな時に飲めたわけじゃないよね。

〖AI 🤖〗

そう。

ここも、

昔は全部生酒だった

一年中酒を飲みたいから火入れが発明された

と一直線に言うと少し雑ですが、火入れ以前は保存できる期間や運べる距離に大きな制約があったのは間違いありません。

日本で火入れを行っていたことが分かる古い記録として有名なのが、16世紀後半の『多聞院日記』です。

室町時代末期には既に、酒を加熱して保存性を高める技術が使われていたと考えられています。

※4

火入れが広まる以前や、火入れしない酒なら、基本的には造った場所の近くで、酒質が大きく変わる前に飲むのが現実的です。

〖酒逢店主🍶〗

今で言う「蔵で搾りたてを一杯飲ませてもらったら旨かった」みたいなのは、昔でも当然あっただろうけど、それを樽に詰めて江戸まで送ります…はだいぶ怖いよな。

〖AI 🤖〗

かなり怖い(笑)。

生酒には火落菌などの微生物だけでなく、麹由来の酵素がまだ残っています。

搾った酒では酵素がまだ働いていて、そのままでは甘味が増したり、ムレ香などが生じたりして品質が不安定なので、火入れによって殺菌と酵素失活を行います。

逆に言えば、現代の「しぼりたてのフレッシュな風味を、遠くの消費者まで届ける」はものすごく高度なことなんです。

冷蔵庫、冷蔵輸送、精密ろ過、衛生的な瓶詰め設備があって、ようやく「搾ったときの若い味を遠くでも楽しむ」という選択肢が普通になってきたわけです。

日本酒は、なぜ二回も火入れする?

〖酒逢店主🍶〗

で、ひやおろしの説明をすると必ず

「通常の日本酒は二回火入れ、ひやおろしは一回火入れ」

って出てくる。

でも、一回目で酵素の不活化も殺菌もするんだろ?

なんで二回必要なの?

〖AI 🤖〗

そこを分けて考えると分かりやすいです。

現代でも一般的な清酒は、

1回目:貯蔵前
2回目:瓶詰め直前または直後

に火入れします。

※5

1回目は、酒の中に残る微生物を殺菌し、酵素の働きを止めて、貯蔵中の品質を安定させるため

〖酒逢店主🍶〗

じゃあ二回目で、止まった酵素を再度・念のため・強めに止めてるわけじゃないよな。

〖AI 🤖〗

もちろん(笑)。

二回目で重要なのは、1回目の火入れ後から出荷までに再び汚染する可能性があることです。

昔なら、

大桶で貯蔵する

桶から酒を出す

必要に応じて調合する

加水する

別の容器へ移す

樽詰めする

と、酒を何度も動かします。

現代の研究でも、火入れそのものが十分でも、容器・配管・パッキングなどからの二次汚染が火落ちの原因になり得ると指摘されています。

※6

まして江戸時代なら無菌配管もステンレスタンクもありません。

だから、

一度火入れしたから永遠に安全

ではなく、

貯蔵後、いろいろ触った酒を、最終的にもう一度安全な状態にして出す

という二回目には、かなり合理性があります。

火入れ技術は、どう進化してきた?

〖酒逢店主🍶〗

ただ、その二回目の火入れ。

今ならかなり精密にやれるけど、昔は酒に対するダメージもデカかったんじゃない?

火入れ方法の変遷をざっくり出して。

〖AI 🤖〗

ここは結構面白いです。

しかも、

直火 → 蛇管 → 瓶火入れ → パストライザー

と一直線に進化したわけではなく、途中から「酒を流しながら加熱する方法」と「瓶に入れてから加熱する方法」が並存するようになります。

大ざっぱな流れだと、

江戸時代
鉄釜へ酒を入れて直火で加熱

明治後期
二重釜・湯煎方式などが登場

明治末~大正
蛇管式火入器が普及

昭和中期以降
プレート式熱交換器・瞬間加熱

並行して瓶燗
酒を瓶へ詰めてから瓶ごと加熱

現在
瓶燗の自動化に近いパストライザーなども利用

という感じ。

江戸期は、酒を鉄釜そのものに入れて火にかけていました。 鉄分が酒質に影響しないよう、釜の内側に漆を塗る工夫までされていたそうです。

明治になると直火の悪影響を避けるための二重釜などが開発され、その後、酒を螺旋状の管へ通して湯の中で加熱する蛇管式へ。

さらに昭和になるとプレート式熱交換器などが導入され、短時間で必要な加熱を行う方向へ進化していきます。

※7

〖酒逢店主🍶〗

やっぱり直火って聞くと…かなり原始的だね、でも単純に「高温でグツグツ煮てた」ってことではないんだよね?

〖AI 🤖〗

そこは重要。

昔も「薄火」「手引」「熱火」など、酒質に応じて火加減を変えていました。

だから、

江戸時代=沸騰寸前までガッツリ煮ていた

ではありません。

問題はむしろ熱履歴全体と作業工程です。

釜で大量の酒を温める。
人が移す。
空気に触れる。
冷めるまで時間がかかる。

当時の研究資料でも、熱い酒が空気に触れること、運搬によって酒気が弱くなること、欠減が多いことなどが改善すべき問題として挙げられています。

さらに、火落ちを恐れて二番火を行うことで酒質が劣ることにも触れています。

※8

つまり火入れ技術の歴史は、

どうやってもっと熱くするか

というより、

必要な殺菌だけして、余計な熱と酸化をどれだけ減らすか

の歴史と見ると分かりやすいです。

昔の冷卸が「最上」とされた理由は?

〖酒逢店主🍶〗

だったら昔の冷卸って、

「二回目をしないから、その分ダメージも劣化も少ない分、旨くて珍重された」ってことない?

要するに、

一回目の火入れで夏を越す安全性は確保する

夏を越したら酒もいい感じに熟した

しかも秋だから気温も下がった

この酒なら二回目の火入れをしなくてもいけそう

だったら余計な熱を加えず、このまま出した方が旨い

って。

〖AI 🤖〗

これは今回の大事な仮説で、かなり筋は通っています

ただし、

冷卸が珍重された主因は「二回目の火入れをしないから」

と直接証明する史料までは、今のところ確認できていません。

そこは分けておきましょう。

ただ、周辺の事実はかなり揃っています。

まず1860年代の酒蔵資料では、出荷前にもう一度火入れすることを「薄火」と呼んでいました。

さらに酒の火持ちが心配な場合には「二つ火」を行うことがあり、これは酒質を損なってでも腐敗を避けたい場合の処置と説明されています。

〖酒逢店主🍶〗

ってことは逆に言えば、

「二つ火しないで済むなら、しない方が酒にはいい」

って認識自体はあったわけだ。

〖AI 🤖〗

少なくとも、追加加熱に品質上の代償があることは認識されていた、と考えていいです。

しかも面白いのは、

秋になったら絶対冷卸!

ではなかったこと。

江戸の下り酒問屋側から、

「冷卸の時期だけど、この酒は保ちが心配だから薄火して送ってくれ」

という趣旨の依頼も残っています。

つまり実態は、

秋だから無条件で二回目をやめる

ではなく、

季節と酒の状態を見て、再火入れなしでいける酒は冷やのまま出す。危ないなら火を入れる

だった可能性が高い。

そう考えると冷卸は、

安全性と酒質の間の、非常に現実的な“いいとこ取り”

だったのかもしれません。

そして1974年の日本醸造協会誌「清酒の熟成」という記事の冒頭には、実際に、

古くから「冷卸し」の酒が最上といわれてきた

という記述があります。

※9

「なぜ最上だったか」まではそこに書かれていませんが、

適熟しているうえに、余計な再火入れもしていない。

これが評価の一因だったのでは?という仮説は、十分検討に値すると思います。

昔と今では「美味い日本酒」の基準が違う?

〖酒逢店主🍶〗

これ調べてたら思ったんだけど…

そもそも昔の人と今の俺らで、「美味い日本酒」の基準自体がだいぶ違うんじゃない?

今なら、

「しぼりたて!」
「ピチピチ!」
「ガス感!」
「フレッシュ!」

って普通に褒め言葉じゃん。

でも冷蔵庫がない時代に、それを全国の消費者が楽しむなんてほぼ不可能だったわけで。

〖AI 🤖〗

ここ、かなり重要だと思います。

現代人は、

若い酒も、熟した酒も選べる。

でも昔は、

若い酒を若いまま遠くまで届けるという選択肢自体がほとんどない。

火入れした酒を保存し、時間とともに熟成していくものを飲む。

それが市場の前提だった。

だから、

フレッシュであること自体が高品質

という価値観を、そのまま江戸時代へ持ち込まない方がいい。

〖酒逢店主🍶〗

むしろ昔の人からすると、

「まだ若くて荒いじゃねえか。もうちょっと置けよ」

だった可能性があると。

〖AI 🤖〗

その可能性を裏付ける材料はあります。

江戸期の古酒について、新酒にはない香りがあり、熟成によって色が増し、味が調和して飲みやすくなり、そうした違いが評価されていたという研究があります。

つまり少なくとも、

若ければ若いほど価値がある

という一方向の価値観ではなかった。

何年も寝かせた古酒に高い価値を認める文化まであった。

※10

そこへさっきの、

1974年になっても「古くから冷卸しの酒が最上」

という言葉が残っている。

これを重ねると、冷卸って当時の味覚ではかなり魅力的に見えます。

新酒ほど荒くない

夏を越してちょうど調和してきた

何年物ほど老熟しているわけでもない

しかも追加の火入れダメージを受けていない

要するに、

「今ちょうど旨いところ」

だったのではないか。

これは史料そのものにそう書いてあるわけではないので仮説ですが、かなり自然な読み方だと思います。

熟成酒文化を変えた、明治の酒税

〖酒逢店主🍶〗

その「熟成した酒をありがたがる文化」が、その後弱くなった理由の一つが明治の酒税だったって話もあるよね。

造った時点で税金払え、みたいな。

〖AI 🤖〗

これはかなり史料的に確認できます。

明治11年(1878年)に、酒税は販売価格を基準とする方式から、造った量を基準とする従量税へ変更。

さらに1880年には「造石税」になりました。

重要なのは、酒を搾ると課税対象になったことです。

国税庁税務大学校の研究でも、

造石税では酒を搾ると同時に課税対象となったため、多くの酒造業者が古酒の貯蔵をやめたと言われている

とされています。

〖酒逢店主🍶〗

まだ売ってない酒なのに税金だけ先に発生する。

それを三年、五年寝かせるって、資金繰り的にそりゃキツいわな。

〖AI 🤖〗

そう。

何年も熟成させる古酒なら、

  • 酒そのものの原価
  • 税負担
  • 蔵のスペース
  • 資金拘束
  • 火落ちや品質劣化のリスク

を何年間も抱えることになります。

古酒の製造量自体の資料がないため確定的なことは言えませんが、造石税への移行や増税によって、古酒から新酒へ切り替えた蔵があったと推定されています。

※10

〖酒逢店主🍶〗

ただ冷卸は数年じゃなくて半年程度。

だから長期熟成古酒は税制で厳しくなっても、

「冬に造った酒を夏越しさせて秋に出す」くらいは通常の商売の中で残れた。

で、その価値観が1974年の「古くから冷卸が最上」にまで繋がった可能性もある?

〖AI 🤖〗

それも今のところ、直接の因果を証明はできないけれど、かなり面白い仮説です。

何年も意図的に寝かせる古酒と違い、半年の夏越しは、冬に造った酒を年間販売するなら自然に発生する貯蔵期間でもあります。

だから、

長期熟成文化には強い経済的逆風が吹いた

でも半年程度で飲み頃になる酒の価値は残りやすかった

「冷卸は旨い」という感覚だけは業界の中に生き残った

という可能性はある。

ここは「こうだった」と断定するより、

「そう考えると1974年の記述も妙に腑に落ちない?」

くらいで読者と一緒に考えるのが、この企画には合っていると思います。

「秋はひやおろし!」は昔からの文化?

〖酒逢店主🍶〗

で、いよいよ現代の「ひやおろし」なんだけど。

今みたいに9月になると酒屋に「ひやおろし」の幟が立って、

「秋の味覚と一緒にどうぞ!」

ってなる売り方も、江戸時代からずっと続いてたわけじゃないよね。

〖AI 🤖〗

ここは分けた方がいいです。

「冷卸」という酒・言葉そのものは古い。

ただ、現在のように全国的な“秋の季節商品”として大々的に売る文化はかなり現代的です。

1970年代から「ひやおろし」を季節提案酒として復活・再提案する動きがあり、1980年代には現在につながる大きな季節商品として定着していったと考えられます。

※11

年代の細部は資料によって表現が違うので、

1970年代から復活・再提案が始まり、1980年代に現在につながる大きな季節商品へ育っていった

くらいで捉えるのが安全でしょう。

〖酒逢店主🍶〗

なるほど。

で、そこで売り文句が変わるわけだ。

昔の人に、

「二つ火すると熱履歴で酒質が落ちますから、状態のいい酒だけ薄火なしで送りますよ」

なら意味が分かったかもしれないけど。

現代の消費者にそんな説明しても、まあ売りにくい(笑)。

〖AI 🤖〗

そう(笑)。

現在のひやおろしの訴求を見ると非常に分かりやすくて、

※12

豊穣の秋
円熟の味わい
ひと夏越した酒
秋の味覚を引き立てる食中酒

という形になっています。

つまり、もともとあった

「秋に飲み頃を迎える酒」

という価値を、

「秋という季節そのものを楽しむ酒」

へ翻訳した、と見ることもできます。

もちろん「秋の食に合う」が嘘という意味ではない。

熟成した酒と秋冬の料理との相性は実際に魅力でしょう。

ただ、

江戸時代から秋刀魚と茸に合わせるために冷卸が珍重され続け、それがそのまま現代まで受け継がれた

と考えると、おそらく話を綺麗につなげすぎ。

古い酒造・流通上の価値を、現代の季節マーケティングが別の言葉で再発見した。

と考える方が面白いと思います。

現代のひやおろしは、昔の冷卸と同じなのか?

〖酒逢店主🍶〗

ただ、ここまで来るともう一個ややこしい。

現代のひやおろしって、昔の冷卸と製法上も本当に同じなの?

例えば今なら、

生酒を瓶に詰める

その瓶を一回だけ瓶火入れ

密栓したまま低温で秋まで置く

そのまま出荷

ってできるじゃん。

これ、「二回目の火入れを省いた」っていうより、そもそも二回やる必要がない工程だよね?

〖AI 🤖〗

まさにそこが、現代のひやおろしを考えるときに面白い部分です。

昔は、

火入れ

大桶で貯蔵

酒を大桶から出す

調整・移し替え

樽詰め

と、火入れ後にも酒を触る工程がたくさんありました。

だから出荷前の再火入れには、再汚染を防ぐ意味が大きかった。

一方、現在は瓶に詰めてから火入れする「瓶火入れ」があります。

瓶火入れは細かな温度管理がしやすく、特に吟醸酒では香気成分の揮散を抑えやすい方法として使われています。

つまり、

最終容器に詰める

密栓状態で火入れ

急冷

低温貯蔵

その瓶を秋に出す

なら、江戸時代とは衛生上の前提がまったく違う。

〖酒逢店主🍶〗

だから「ひやおろし=普通なら二回するところを一回だけにした酒」って説明すると、現代ではちょっと変な場合がある。

〖AI 🤖〗

そうです。

「一回火入れ」は現在のひやおろしを説明する一つの分かりやすい特徴ですが、その一回が工程のどこで行われたかによって意味が変わる

しかも国税庁の全国統一表示基準には、「ひやおろし」そのものの法的要件はありません。

一方で、現在も「春先に一度火入れして秋まで熟成させ、出荷前の二度目の火入れをしない」という形をひやおろしとして明確に打ち出す商品もあります。

だから現代では、

ひやおろしという言葉の伝統的な意味



各蔵が現在採用している実際の火入れ・貯蔵工程

は、分けて見た方がいいと思います。

結局、ひやおろしって何なんだ?

〖酒逢店主🍶〗

なんか最初は、

「秋上がり=夏越しして旨くなった酒、ひやおろし=一回火入れ」

くらいで終わる話かと思ってたけど、だいぶ違うところまで来たな(笑)。

俺なりにまとめると、

昔の冷卸って、

冬に造った酒を一回火入れして夏まで守る。
夏を無事越して、ちょうど旨くなった。
秋になって気温も下がった。
その酒なら、もう一度火を入れて傷めるより、そのまま出した方が旨い。

みたいな、かなり実務的な発想だった可能性がある。

一方今は、冷蔵もできるし瓶火入れもできる。

だから昔と同じ技術的必然は薄くなって、

「ひと夏越して飲み頃になった秋の酒」

という季節文化としての意味の方が前に出てきた。

こんな理解でいいのかな。

〖AI 🤖〗

今回調べた範囲では、その理解が一番しっくりきます。

ただ最後にもう一度、事実と仮説を分けるなら、

確認できる事実としては、

  • 秋上がりは、夏越し後に酒質が向上すること
  • 冷卸は、火入れ・貯蔵した酒を秋に再火入れせず卸したこと
  • 昔は火落ちが心配なら薄火・二つ火も行われていたこと
  • 追加の火入れが酒質を損ねるという認識があったこと
  • 1974年にも「古くから冷卸しの酒が最上」と記されていること
  • 江戸期には熟成した古酒が高く評価されていたこと
  • 明治の造石税が長期古酒衰退の一因になったと考えられていること
  • 1970~80年代以降、「ひやおろし」が現代の季節商品として再び広く提案されたこと
  • 現在は瓶火入れ・低温貯蔵など、昔にはなかった技術があること

までは資料から追えます。

その上で今回出てきた仮説が、

昔の冷卸が特に旨いとされた背景には、「ちょうど適熟している」だけでなく、「二回目の火入れによる余計な酒質劣化を受けていない」ことも大きかったのではないか。

という話。

そしてもう一つが、

「秋の味覚と合わせる季節酒」という現在のひやおろし像は、昔の冷卸そのものというより、古い文化を現代人に分かりやすく再編集した側面があるのではないか。

という話です。

ここは「証明しました」ではなく、

いろんな史料を並べてみたら、こういう景色が見えてきた。

くらいがちょうどいいと思います。

〖酒逢店主🍶〗

いいね。

単純に、

「ひやおろしは、一回火入れした酒を夏越しさせて秋に出荷する日本酒です。秋刀魚にぴったりです!」

で終わるより、俺はこっちの方が納得感あるし、歴史も感じるし、しっくりくる。

冷卸って、最初から「秋を演出するための酒」だったというより、

少しでも旨い酒を飲みたい飲兵衛と、少しでもいい状態で酒を届けたい造り手・商売人の工夫から生まれて、その価値を現代の商売人がもう一度“秋の酒”として見つけ直した。

くらいに考えると、今売り場に並んでるひやおろしの見え方もちょっと変わるね。

〖AI 🤖〗

そうだと思います。

昔の技術をそのまま再現しているから価値がある、というだけでもない。

「昔とは設備も流通も全然違うのに、なぜ今も秋になるとこの酒を飲むのか?」

まで考えると、ひやおろしは単なる製法用語じゃなくて、

酒造技術と熟成文化と商売が重なって残った、日本酒の季節文化

として見ることができそうです。

〖酒逢店主🍶〗

なるほど。

じゃあ今年のひやおろしは、

「秋刀魚に合いますよ!」

だけじゃなくて、その辺を思い出しながら飲んでみることにするわ(笑)。

〖酒逢店主🍶 × AI 🤖〗<また次回〜👋👋


📌 ひやおろし・秋の日本酒を実際に見てみる

酒逢の通販では、ひやおろし・秋上がりをはじめ、秋に飲み頃を迎える季節の日本酒をご紹介しています。

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参考資料・出典

※1: 日本酒造組合中央会「日本酒用語集|ひやおろし」

※2: 国税庁「清酒の製法品質表示基準の概要」

※3: 佐藤信ほか「清酒の熟成による香味の変化に関する研究(第1報)―不揮発酸の変化―」 (日本醸造協会雑誌、1974年) / 高橋康次郎「清酒の熟成―その化学成分の変化―」 (日本醸造協会雑誌、1974年)

※4: 国税庁・税務大学校「日本酒の文化・伝統性の言説の確立について」 ―『多聞院日記』にみる16世紀の酒造り・火入れ

※5: 国税庁「清酒の製法品質表示基準の概要」 ―一般的な清酒の貯蔵前・出荷前の加熱処理

※6: 永谷正治ほか「清酒の火入れに関する研究(第1報)」 (日本醸造協会雑誌、1970年)

※7: 「清酒の火入れ」―昔の火入れから近代的火入れ設備まで (日本醸造協会雑誌、1975年)

※8: 田所哲太郎ほか「電熱應用清酒火入に就て(第一報)」 (工業化学雑誌、1917年)

※9: 宮井孝一「清酒の熟成」 (日本醸造協会雑誌、1974年)

※10: 国税庁・税務大学校「日本酒の文化・伝統性の言説の確立について」 ―江戸期の古酒文化と明治期の造石税

※11: 新政酒造「2009 21BY Archives|六號 純米ひやおろし」 ―1970年代の季節提案酒としての「ひやおろし」復活について / 日本名門酒会「日本名門酒会とは」

※12: 日本名門酒会「お酒の歳時記 秋の酒|ひやおろし」

※本文中の歴史的な推測・仮説は、上記資料から確認できる事実をもとに、 酒逢店主とAIの対話の中で整理・考察したものを含みます。

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🍶 お酒の用語・知識に関するよくある質問

質問1:お酒の用語や知識は、なるべく覚えた方がいいですか?

お酒を楽しむために、用語を暗記しなければならないわけではありません。飲んで「美味しい」と思えれば、どんな製法なのか、どんな原料や酵母を使っているのかを知らなくても、それで十分です。わざわざ評論家のように味を言語化する必要もありません。

ただ、それぞれの言葉が何を意味し、どんな歴史や技術的な背景を持っているのかを少しずつ知っていくと、お酒を見るときの「解像度」はかなり変わってきます。

例えば日本酒なら、何も知らずに裏面ラベルを見たときには、「酒蔵名+よく分からない専門用語がたくさん書いてある」くらいで終わってしまうかもしれません。

でも、酒母、酒米、酵母、火入れ、生酒、搾り方など、それぞれの意味が分かってくると、

「生酛なのに、こんなに綺麗なんだ」
「火入れなのに、このフレッシュ感はすごい」
「この酒米を、この蔵はこう表現するのか」

といった、一段違った見方ができるようになります。

用語を覚えること自体が目的というより、そのお酒がどんな背景や技術の積み重ねで造られているのかを見るための材料が増えていく、くらいに考えるのがちょうどいいと思います。

質問2:お酒の用語やスペックが分かれば、飲む前に味を当てられるようになりますか?

ある程度の方向性を予想するための手がかりにはなりますが、完璧に味を当てることはできません。

例えば同じ「生酛」でも、力強く濃醇なお酒もあれば、驚くほど綺麗で軽快なお酒もあります。「辛口」も同じで、一つの分類の中にまったく違うタイプのお酒があります。

原料、酵母、製法、発酵、火入れ、熟成などは、それぞれ味わいに関係する要素ですが、お酒はそれら複数の条件が組み合わさって完成します。

だから知識を「このスペックだから、きっとこういう味だ」という答え合わせに使うよりも、

「この条件から、この造り手はどんな味に表現しているんだろう?」

と考えながら飲む方が、お酒の楽しみ方としてはずっと面白いと思います。

質問3:同じ原料や酵母、同じ製法でも、造り手によって味が違うのはなぜですか?

お酒の味は、一つの要素だけで決まるものではないからです。

例えば日本酒なら、同じ酒米を使っていても、酒蔵の考え方や技術体系、仕込み水、精米、麹造り、酵母、酒母、発酵温度、搾り、火入れ、熟成などが違えば、出来上がるお酒も変わります。

そして、そこが知識を持って飲み比べる面白さでもあります。

例えば同じ原料や製法のお酒を何本か飲んでいくと、「この条件のお酒の中では、この造り手の表現が自分には一番しっくりくる」と感じることがあります。

少しお芝居に例えるなら、「同じ演目でも、演じる役者が変われば表現も変わる」のと似ています。

原料や酵母、製法などの条件が「演目」だとすれば、それをどう表現するかには、造り手の考え方や技術、それぞれの造り手ならではの個性が現れます。

質問4:お酒の知識が増えると、お酒選びはどう変わりますか?

最初は、「甘いのが好き」「辛口が好き」「飲みやすいお酒が好き」といった大きな感覚で選んでいたものが、知識と飲んだ経験が結びついてくると、少しずつ自分の好みを細かく捉えられるようになります。

例えば日本酒なら、

「生酛でも軽快なタイプが好き」
「この酒米を使った中では、この蔵の表現が好き」
「火入れなのにフレッシュなタイプが好き」

といった具合です。

つまり、知識が増えること以上に、“知識によって整理された飲酒経験”が増えていくことが大きいのだと思います。

それによって、単にお酒を分類できるようになるだけではなく、「自分は何を面白いと思うのか」「どんな表現を美味しいと感じるのか」も、少しずつ見えやすくなってきます。

この「お酒の用語・知識解説」も、用語を暗記するための読み物というより、お酒を見る視点を一つずつ増やしていくための読み物として使ってもらえればと思っています。