地酒専門店「酒逢」の店主が、入荷ごとに実際に開栓・試飲して記録しているテイスティングレビューの一覧です。
各商品ごとの具体的な香り、口当たり、旨み、余韻、おすすめの飲み方(温度帯)から、相性の良いおつまみ(ペアリング)まで、ご購入前の安心な判断材料としていただけるよう、できるだけ詳しくご紹介しています。あなたにぴったりの最高の1本を選ぶ参考に、ぜひご活用ください。
店主の味見ログ
まさに甘露。穏やかな香り、優しい旨味と甘み、そして透明感|一生青春 純米酒
福島県・曙酒造の「一生青春 純米酒」を試飲。穏やかな香り、優しい旨味と甘み、透明感が魅力の看板純米酒。さらさら8+ふわふわ2の絹のような口当たりで、青リンゴや柑橘を思わせる軽やかさも。和風おせち、肉じゃが、すき焼き、ぶり大根などと好相性です。
冷でも燗でも柔らか軽快。全和食に寄り添う辛口特別純米|萩の鶴 辛口特別純米
萩の鶴 辛口特別純米は、クラシックな和食全般と合わせやすい辛口食中酒。冷酒では軽快で透明感のある飲み口、燗酒では柔らかな旨味と甘い香りが楽しめます。長芋千切り、焼き鳥ささみわさび、牛すじ煮込み、かつおのたたき、海老塩焼きなどと好相性です。
鬼コスパ・濃厚芳醇なのに飲みやすい金陵の大看板|金陵 濃醇純米
香川県・西野金陵の「金陵 濃醇純米」を試飲。米本来の旨味とコクをしっかり感じながら、つるつる柔らかく飲みやすい純米酒。常温では熟した柑橘と旨味、お燗では蒸した紅芋のような甘い香りと旨味が広がります。おでん、チヂミ、メンチカツなどと好相性です。
高級感としっかり厚めの香味。シリアルナンバーが付与され厳選された“限定大吟醸”|満寿泉 限定大吟醸
富山県・桝田酒造店の「限定大吟醸 満寿泉」を試飲。厳寒期に杜氏・蔵人が精魂込めて醸したシリアルナンバー入りの限定大吟醸。柑橘や食べ頃のメロン、スターフルーツを思わせる香りと、厚みのある味わい、ぬる燗での柔らかさが魅力です。
冷でよし、燗で尚良し。凛とした風格のクラシカル大吟醸|満寿泉 大吟醸
富山県・桝田酒造店の「満寿泉 大吟醸」を試飲。山田錦を50%まで磨き、富山の厳冬期に仕込まれた一本。控えめな柑橘香、軽快で滑らかな口当たり、ぬる燗で広がる米の甘みと旨味が魅力。生ゆば、しめさば、寿司、銀だら西京焼きなどと合わせたい大吟醸です。
原酒だけど柔らかい、夏に飲みたいキリッと純米|国権 純米原酒 夏酒
口に含むと、原酒らしいアルコール感と米の旨味。けれど、ただ強いだけではなく、柔らかく優しいまとまりがあるのが国権らしさ。葡萄や洋梨、かぼすを思わせる香りと、ピリッとキレる余韻が心地よい夏酒を詳しく綴ります。
ガス感の絡んだフレッシュさ、生酛のふくよかなボディ感|日輪田 生もと純米酒 ひまわり
宮城県・萩野酒造の販売店限定酒「日輪田 生もと純米酒 ひまわり」を試飲。食べごろの柑橘やレモンを思わせる爽快な香りに、ほのかなガス感、爽やかな酸、生酛らしいふくよかなボディ感が調和。穴子天、BBQ、なめろう、カキフライなどと合わせたい一本です。
さっぱり爽やか…だけじゃない!癒される夏の食中酒|出羽桜 特別純米酒 honu
山形県・出羽桜酒造の季節限定酒「出羽桜 特別純米酒 honu」を試飲。かぼすの果皮や青リンゴ、柑橘を思わせる爽やかな香りに、柔らかな米の旨味とやさしい酸が調和。冷酒でも常温でも楽しみやすい、癒し系の夏の食中酒です。
まさにJELLYなツルツル大甘口! | 金陵 JELLY 白麹純米吟醸原酒一火の不思議なバランス
香川・西野金陵の「金陵 JELLY 白麹純米吟醸原酒一火」を試飲。日本酒度-15.1の大甘口ながら、白麹由来の爽やかな酸と、柑橘・桃・シャインマスカットを思わせる香りで飲みやすい個性派夏酒を詳しく解説します。
菜の花おひたし、里芋の煮物、おでんに合わせたい | 出羽桜 本醸造、昭和の食卓に似合う晩酌酒
口当たりはふわふわ8+つるつる2。ほのかな和梨系の香りと、少しピリピリする辛口感があり、ぬる燗では焼き芋のような甘い香りと柔らかさが広がります。派手ではないけれど深い、出羽桜の本醸造を詳しく綴ります。
辛口+しっかり旨味、ロックでも美味しい夏酒 | 繁桝の夏酒 "辛口純米吟醸 壱火"の実力
口に含むと、さらっと広がった直後にピリッと来る辛口感。レモン水のような爽やかさ、穏やかな旨味、軽快なアルコール感が続きます。氷を数個入れても楽しめる、繁桝 辛口純米吟醸 壱火の味わいを詳しく綴ります。
柔らかでゴージャス、でも落ち着いた美しいまとまり | 天明 蔵薔薇、おりがらみ一火の初夏限定酒
カマンベール、果物+生ハム、鯛のカルパッチョ、ホタテバター焼き、いわしの梅煮など、少し洋食寄りの料理と合わせたい一本。天明 蔵薔薇は、おりがらみの柔らかさと華やかな香りが魅力の初夏限定酒です。
🍶 日本酒の選び方・楽しみ方についてのよくある質問(クリックで展開)
① 特定名称分類(純米・吟醸など)の捉え方について
質問:そのお酒の特定名称を見れば、ある程度の味の傾向はわかりますか?
返答:特定名称は、あくまで原料や精米歩合による分類ですので、いわゆる”当社比”のようなものと考えて下さい。「その蔵の商品の中」ではある程度の傾向は把握できます(純米は純米吟醸よりも旨味があり、純米大吟醸は透明感や高級感がある…など)。しかし一般的にお酒を選ぶ場合は、ひとつの酒蔵の商品ラインナップ内で選ぶことは少なく、複数の酒蔵のラインナップの中からお酒を選ぶ場合は、それほど明確な指標にはなりません。仕込み水・酒米・酵母・酒母・温度経過…など、日本酒の味は無数の分岐によって左右されるので、特定名称は参考程度で把握されることをお勧めします。
② スペック(数値)による味の予測について
質問:酒米、酵母、日本酒度などのスペックから、味を予測することはできますか?
返答:正確には予測できません。数値や原材料の種類はあくまで「点」に過ぎず、それらが複雑に絡み合って日本酒の風味を形成しています。例えば「〇〇米のお酒」を何種類か飲んで、どれも美味しかった場合でも、それは「〇〇米が優れた米だから」ではなく、「その米の特性を理解した造り手が、そのポテンシャルを引き出す造り(精米や吸水や温度管理…など)をした結果」だと思って下さい。
同じ米、同じ酵母、同じ数値でも、蔵の仕込み水や設備、造り手の技術や手のかけ方で驚くほど味は変わります。スペック表を見てお酒を選ぶ時、例えば「生酛」「純米」「〇〇米」「△△酵母」とあった場合は、「カテゴリ:時代劇」「演目:忠臣蔵」「主演〇〇」「助演△△」と書いてあるようなものです。もちろん監督さんはその酒蔵さんです。「どんな作品なのか楽しみだ」といったスタンスで楽しむことをお勧めします。
③ 醸造アルコールについて
質問:醸造アルコールが添加されているお酒は避けたほうがいいですか?悪酔いすると聞いたのですが…
返答:残念ならが「純米=善、アル添=悪」と考えている方が一定数いるのは事実ですが…、醸造アルコール添加はむしろ「キレ」や「香り」をデザインするための、高度な技術の一つであり、醸造アルコール→悪酔いと直結するものではありません。一般的に…、吟醸香(=高級エステル香)はアルコールにのみ溶けるので、アルコール添加をしたほうが香りを多く保ちやすいこと、また口当たりの滑らかさやキレが良くなるという点で使用されているものが多いので、もしかするとその「悪酔いする」と言っていた人が悪酔いしたのは…、飲みやすくて飲み過ぎてしまったのかもしれません。
④ 失敗しない「選び方」のコツ
質問:自分の好みに合うお酒を、どうやって見つければいいですか?
返答:御覧頂いた「酒逢店主のテイスティングレビュー」に記載のあるスペックを参考程度に見たうえで、どんな香りや口当たりなのかもサラッと確認して、特に「おすすめされているおつまみ」の傾向をチェックしてみてください。「〇〇のような香り」「〇〇な口当たり」といった感想は個人差も発生しますが、「このお酒、〇〇に合いそう」という感覚は、一番ズレが少ない共通感覚であると考え、必ず少なくとも数種類のおつまみ名を記載していますので、ご参考にして下さい。
⑤ 日本酒という「趣味」の楽しみ方
質問:自分にとっての「正解の1本」をどう探せばいいですか?
返答:日本酒の「合う・合わない」は、その日の体調や疲れ具合、一緒に食べる料理、さらには一人で飲むか、誰と一緒に飲むか…でも変化します。また「自分の好みの方向」ですら、時間とともに変わっていくものです。正解を求めるよりも、「今の自分にはこれが心地よい」という一期一会の変化を楽しむ中で、無限のバリエーションに触れ、その探求のプロセス自体を楽しむのが、日本酒という趣味の醍醐味だと考えています。