地酒専門店「酒逢」の店主が、入荷ごとに実際に開栓・試飲して記録しているテイスティングレビューの一覧です。
各商品ごとの具体的な香り、口当たり、旨み、余韻、おすすめの飲み方(温度帯)から、相性の良いおつまみ(ペアリング)まで、ご購入前の安心な判断材料としていただけるよう、できるだけ詳しくご紹介しています。あなたにぴったりの最高の1本を選ぶ参考に、ぜひご活用ください。
店主の味見ログ
「この品質で税込み1800円台?」|40%精米の大吟醸、なのにコスパ大爆発!一乃谷 暁の満足感
40%精米の山田錦を使用しながら1800円台という驚きの価格。安さ以上に、アル添火入れとは思えない「ジューシーな旨味」とバランスの良さに圧倒されます。一乃谷 暁の飲んで納得したクオリティをレビュー。
良いお値段、でも品質はお値段相場の遥か上|手取川 大吟醸 名流、半年熟成が醸す円やかさの極致
石川・吉田酒造の「手取川 名流」を試飲。半年以上の低温熟成により、大吟醸らしい繊細さに圧倒的な円やかさが加わった絶品。箱付きでギフトにも最適な一本が、なぜ「お値段以上」と感じさせるのか。その実力を詳しく解説します。
復活を望む声でリバイバル|南部美人 本醸造 辛口、安さの欠片も感じさせない絶品の一本
惜しまれつつ廃盤になるも、ファンの熱い要望で復活した「南部美人 本醸造 辛口」。本醸造の概念を覆すリンゴやレモンのような爽快な香りと、驚きの飲みやすさ。美食の国イタリアでも認められた実力を詳しく解説します。
気品と旨味が同居する|繁桝 純米大吟醸 50%、一切のひっかかりがない透明感
福岡・高橋商店の看板「繁桝 純米大吟醸 50%」を試飲。山田錦を丁寧に醸した、一切の引っ掛かりがない滑らかな口当たりとシャープなキレ。純米大吟醸としての品格と、毎日でも飲みたくなる軽快さを詳しく解説します。
山田錦の血統 "吟のさと" の旨味とふくらみ|繁桝 純米吟醸 吟のさと、綺麗さと立体感の共存
福岡・高橋商店の定番「繁桝 吟のさと」を試飲。山田錦の特質を受け継ぐ酒米が醸す、さらさらとした透明感とジュワッと広がる旨味。綺麗でありながら、わずかな渋みがアクセントになる「大人のバランス」を詳しく解説します。
すべての「酒仙」に贈る一献 | 満寿泉が食中酒の理想形と言われる納得の理由
富山・桝田酒造店の「満寿泉 純米吟醸」を試飲。余計なものを削ぎ落とした綺麗さと、シルクのような滑らかな口当たり。いつまでも飲んでいられる絶妙なバランスと、酒飲みであればあるほど唸る魅力を詳しく解説します。
スルスルっと柔らかく、ふわっと消える | 満寿泉 吟醸、日常の晩酌を格上げする万能な一献
富山・桝田酒造店の「満寿泉 吟醸」を試飲。公式が「サラッとすいすい飲める」と語る通りの軽快さと、重さを感じさせないスルッとした喉越しが魅力です。日常の食事を上品に格上げしてくれる、秀逸なバランスの正体を詳しく解説します。
アンチョビやホタルイカを肴に | 満寿泉 純米酒、クセのある濃い味に寄り添う深い懐
富山の銘醸蔵・桝田酒造店が「これしかない」と胸を張る大定番「満寿泉 純米酒」を試飲。一切のひっかかりがない滑らかな口当たりと、苺を思わせる爽やかで甘い香りが魅力です。ぬる燗でさらに花開く、鉄板食中酒の実力を詳しく解説します。
林檎の蜜が香る、甘・旨・サラリ | 手取川 純米大吟醸 本流、お値段以上の高級感
石川・吉田酒造店の「手取川 本流」を試飲。山田錦を45%まで磨いた贅沢な造りながら、重さを感じさせない滑らかな喉越しが魅力です。公式が語る蜂蜜のような香りと、実飲で感じた「蜜の多い林檎」の爽やかさを詳しく解説します。
芳醇なのにサラリと切れる | 手取川 山廃仕込 純米酒、世界が認めた「柔らか山廃」
石川・吉田酒造店の大看板「手取川 山廃仕込 純米酒」を試飲。山廃特有の立体的な複雑味と酸がありつつ、驚くほど柔らかで上品な仕上がりです。世界的なコンペIWCでの受賞歴も納得の、芳醇かつキレの良い味わいを詳しく解説します。
食事や会話の架け橋になる"虹"? | 手取川 純米酒 niji、終始お上品で滑らかなデイリー純米
石川・吉田酒造店の150年の歴史を未来へ繋ぐ「純米酒 niji」を試飲。純米酒という括りながら重さや米感の強さは一切なく、赤リンゴの甘さと青リンゴの爽やかさが同居する逸品です。空にかかる虹のように料理にそっと寄り添う、その滑らかな魅力を詳しく解説します。
気取らない日常の大吟醸 | 手取川 大吟醸 hoshi、北陸の夜空に瞬く星のような繊細なきらめき
石川・吉田酒造店の「手取川 hoshi」を試飲。大吟醸ながら派手すぎず、フレッシュな林檎を思わせる香りと、絹のような滑らかな喉越しが魅力。日常の和食にしっくり寄り添う、繊細かつ力強いきらめきを詳しく解説します。
🍶 日本酒の選び方・楽しみ方についてのよくある質問(クリックで展開)
① 特定名称分類(純米・吟醸など)の捉え方について
質問:そのお酒の特定名称を見れば、ある程度の味の傾向はわかりますか?
返答:特定名称は、あくまで原料や精米歩合による分類ですので、いわゆる”当社比”のようなものと考えて下さい。「その蔵の商品の中」ではある程度の傾向は把握できます(純米は純米吟醸よりも旨味があり、純米大吟醸は透明感や高級感がある…など)。しかし一般的にお酒を選ぶ場合は、ひとつの酒蔵の商品ラインナップ内で選ぶことは少なく、複数の酒蔵のラインナップの中からお酒を選ぶ場合は、それほど明確な指標にはなりません。仕込み水・酒米・酵母・酒母・温度経過…など、日本酒の味は無数の分岐によって左右されるので、特定名称は参考程度で把握されることをお勧めします。
② スペック(数値)による味の予測について
質問:酒米、酵母、日本酒度などのスペックから、味を予測することはできますか?
返答:正確には予測できません。数値や原材料の種類はあくまで「点」に過ぎず、それらが複雑に絡み合って日本酒の風味を形成しています。例えば「〇〇米のお酒」を何種類か飲んで、どれも美味しかった場合でも、それは「〇〇米が優れた米だから」ではなく、「その米の特性を理解した造り手が、そのポテンシャルを引き出す造り(精米や吸水や温度管理…など)をした結果」だと思って下さい。
同じ米、同じ酵母、同じ数値でも、蔵の仕込み水や設備、造り手の技術や手のかけ方で驚くほど味は変わります。スペック表を見てお酒を選ぶ時、例えば「生酛」「純米」「〇〇米」「△△酵母」とあった場合は、「カテゴリ:時代劇」「演目:忠臣蔵」「主演〇〇」「助演△△」と書いてあるようなものです。もちろん監督さんはその酒蔵さんです。「どんな作品なのか楽しみだ」といったスタンスで楽しむことをお勧めします。
③ 醸造アルコールについて
質問:醸造アルコールが添加されているお酒は避けたほうがいいですか?悪酔いすると聞いたのですが…
返答:残念ならが「純米=善、アル添=悪」と考えている方が一定数いるのは事実ですが…、醸造アルコール添加はむしろ「キレ」や「香り」をデザインするための、高度な技術の一つであり、醸造アルコール→悪酔いと直結するものではありません。一般的に…、吟醸香(=高級エステル香)はアルコールにのみ溶けるので、アルコール添加をしたほうが香りを多く保ちやすいこと、また口当たりの滑らかさやキレが良くなるという点で使用されているものが多いので、もしかするとその「悪酔いする」と言っていた人が悪酔いしたのは…、飲みやすくて飲み過ぎてしまったのかもしれません。
④ 失敗しない「選び方」のコツ
質問:自分の好みに合うお酒を、どうやって見つければいいですか?
返答:御覧頂いた「酒逢店主のテイスティングレビュー」に記載のあるスペックを参考程度に見たうえで、どんな香りや口当たりなのかもサラッと確認して、特に「おすすめされているおつまみ」の傾向をチェックしてみてください。「〇〇のような香り」「〇〇な口当たり」といった感想は個人差も発生しますが、「このお酒、〇〇に合いそう」という感覚は、一番ズレが少ない共通感覚であると考え、必ず少なくとも数種類のおつまみ名を記載していますので、ご参考にして下さい。
⑤ 日本酒という「趣味」の楽しみ方
質問:自分にとっての「正解の1本」をどう探せばいいですか?
返答:日本酒の「合う・合わない」は、その日の体調や疲れ具合、一緒に食べる料理、さらには一人で飲むか、誰と一緒に飲むか…でも変化します。また「自分の好みの方向」ですら、時間とともに変わっていくものです。正解を求めるよりも、「今の自分にはこれが心地よい」という一期一会の変化を楽しむ中で、無限のバリエーションに触れ、その探求のプロセス自体を楽しむのが、日本酒という趣味の醍醐味だと考えています。